第3章 特別報酬仕事

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階段を下りる度に奇声が大きくなるばかりか、半狂乱の人達 が怒濤のように押し寄せたけれど、パンジーは人の上を飛び、 一階へ下りた。そこに奇妙な生き物がゴロゴロ転がってた。 それは玉葱に似た宇宙生物だった。しかしながらどうやって ここへ入り込んだか謎である。 「ルビーさん。危ないから下がってろ!」 月島さんのカッコイイ叫び声だった。他の社員も銃を構え 宇宙生物を銃撃したものの、次々増えるその数に埒が明か ない。何て恐ろしい繁殖力だろう。 「月島さん。大丈夫ですか?」 私は彼らを心配した。彼は、「大丈夫さ」と、言ったけれど …… 「無理ですね」って、私は囁き、パンジーに背おられながら 気を集中させた。すると玉葱形宇宙生物はゴロンゴロンとオ セロの駒をひっくり返すように裏返り、それらの足がフニフ ニ天井を向き動いてた。その様はゾンビ以上に気色悪く鳥肌 が立った。 「はっ! どうなってんだ?」 月島さん達は呆然としたが、パンジーは私を安全な場所へ降 ろすと突風を起こした。それは螺旋状の気流で糸を通せば玉 葱形宇宙生物の数珠玉が完成する。でも仏様は喜びそうもな い。 それらはあっという間に外へ放り出され遠方へ姿を消した。 「パンジー、行きましょ。まだ掃除が途中よ」 それから私は月島さんを見て、こう言った。 「これも特別報酬ですから、社長に宜しくお伝えください」 腕時計を見ると、いつもより二十分のロスに気付いた。 この埋め合わせをどうしようか。私は例の事務所へ歩きつつ 気を集中させた。 その事務所は仕事開始時間だった。けれど壁の上に並んだゾ ンビを社員が挙って眺めてた。 「これ、落ちてこないだろうな。嫌な予感がするぜ」 「なんてこった。ああ、神様、仏様、お助け下さい」 ゾンビが薄気味悪く笑えば、社員は生唾を「ゴクリ」飲み込 んだ。ところが、「ズリッ」「ドチッ」と、続々ゾンビがず り落ちて、そこへ私がやって来たから社員は絶句した。と言 うのも何か妙なことが起こるに違いないと思ったから。それ は図星だった。落とされたゾンビは私の前で二列縦隊に整列 された。 「それでは皆さん、これから掃除を手伝ってもらいます よ」と、彼らを引き連れたものの気のせいか喜んでた。 「おい、聞いたかよ。ゾンビが掃除するってさ」 「そんなの有り得ないだろ。頭が可笑しくなりそうだぜ」
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