第3章 特別報酬仕事

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「おっさん。悪く思うなよ。打つ手がなかったんだ」 不貞腐れたルチルさんの声だ。 「ど、どういうことだ?」 狼狽える月島さんに、ルチルさんはため息ついた。 「シールド張ったんだよ。数か月は持つはずだ」 「おいおい、そんなにいたら、疾うにお前と干からびる。 冗談じゃないぜ」 月島さんは周りを確認した。そして、「お前が特殊訓練さ れてた者とは驚きだ」と、感心した。 「まあな。僕は戦闘に強い人間なんだ」 隙間なくべったり張り付いた宇宙生物。月島さんはそれら を胡散臭く眺めた。 「イーグル社の拳銃を使いこなす者は多くない。お前は十 分に扱える力量だった。それは認めてやる」 「月島もだな」「お前に言われたくない」「それは悪かっ たな」 さて、一人悩んでたパンジーはどうなったか。彼は何か思 い出した。 「僕は。そうだ僕はダイヤだ!」 ロボットは漸く気分が晴れた。 「僕はオパール星プレッシャス国の王子、紫藤ダイヤだ!」 それから更に記憶を辿った。あの店でロボットを眺めてた はずだが、どうして僕はこの中にいるんだろう…… 「そうだ。僕はルビーさんを護らなければならない」 私の位置を確認すると、風を切ってまっしぐらに自然公園 へ飛んだ。 他方で私はある意味苦戦してた。 「もう、ゴキブリの大群は金輪際お断りします。気持ち悪い わ。こんな時パンジーがいたら、すぐ掃除できるのに」 私は気を集中させ自然物で鋼の剣を作り、舞ってくるゴキブ リをバシバシ切った。幾重にも切った。その傍らで部隊 の銃声が鳴ってる。 「パンジーどこにいるの? お願い私を助けて」 すると別の方向から、「ダダダダダッ」と、銃声が鳴り、一気 呵成にゴキブリが消えた。と思ったら、また大群が押し寄せた。 「パンジー、お帰りなさい」 「ルビー。キュート!」 私は振り落とされないように、彼にしがみ付いた。 ロボットは一直線に空へ上がり雲を突き抜ける間に、戦闘機へ 変わった。 「パンジー。燃やしましょう」と、言うやいなや、空は真っ赤 に炎上し黒い灰がひらひら地上へ落ちた。 こちらはシールド内の二人。 「あいつら一瞬で空へ消えたと思ったら、今度は黒い物がパラ パラ落ちて来やがった」と、月島さんが空を眺めた。 「灰だな」と、ルチルさんが呟いくと、「何のだよ」って、 月島さんは質問した。 「そんなの宇宙生物に決まってる」
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