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西内が来てからも、相変わらず俺は引きこもりで、西内は毎日鬱陶しいくらいに“学校へ行け、外へ出ろ”と言った。
そしてそれにテキトーに返事をする俺に、“口の利き方を改めろ”と何度も西内は言った。
正直、西内と出会ったからと言って何かが変わったとは思えない。
そりゃあ確かにあの頃よりは幾分かマシにはなっただろうけど……。
つまりアレだ、西内がいなくても俺は何も困らないということだ。
西内が入院してから一ヶ月。
未だ帰ってこない西内。
俺は抜け殻のようになりつつ、そんなことを考えていた。
「純也様、お荷物です」
そんなとき、使用人の一人が俺に大きな箱を渡してきた。
見た目の大きさの割にはそれほどまでに重くはないそれ。
フタにかけられたテープを剥がし、フタを開け、中を覗いた。
すると、そこにあったのはシルバーのアタッシュケース。
「誰からだ??……」
不審に思いながらもそれを開ける。
すると中に入っていたのは……。
「っ!?……何だ??……この金は……」
それは、幾つもの一万円札が束となり出来上がった“一億円”だった。
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