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両親からか??……。
いや、でも今までこんな金額を一気に渡されたことはない。
それに両親からの金は数日前に渡されたばかりだ。
それならいったい誰が……。
「手紙??……」
よく見ると、アタッシュケースの側面に真っ白な二つ折りの便箋が添えられている。
俺は急いでその中を確認した。
「はっ??……西内??……」
何とその差出人は入院中の西内だった。
一億円という金額を突然送りつけてくるなんて、いったいどういうことだ。
『小崎純也様へ』
そう書き出された手紙を、訳が分からない俺は食い入るように読み始めた。
「っ……ヘリを出せっ!!今すぐにだっ!!」
「はっはいっ!!」
全て読み終えた俺は感情に任せてグシャリと音を立てて西内からの手紙を握りしめた。
使用人達は突然大声で叫んだ俺の言葉に、慌てて指示通りに動き出した。
「アイツッ……ふざけやがって!!」
使用人達がバタバタと動き回る中、俺は思い切り壁を殴る。
それによりジンッと痛む拳。
何かを殴ることなんて今まで一度もなかった。
慣れない行為のせいで手が赤くなる。
けれど今はそんな痛さ全く気にならない。
それほどまでに俺は怒っているのだから。
「純也様、準備が整いました」
「ああ、行くぞ」
使用人の声に、俺は一億円が入ったアタッシュケースを引っ付かみ、早足で用意されたヘリに乗り込んだ。
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