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何度も西内の名前をヘリの上から呼び続けていると……。
「西内っ……」
点滴をした状態の西内が屋上に現れた。
驚いて目を見開く西内。
俺は西内目掛けて、袋に入れていたある物を撒いた。
「好きなように使わせてもらったぞ!!西内!!」
袋から撒き散らされたそれは、ヒラヒラと鮮やかな青を主張するように舞って落ちていく。
そう、俺が撒いたものは、西内から送られた一億円で買った、およそ10万本のブルーローズ。
西内、覚えているか??
俺とお前が初めて出会ったあの日のことを。
あの日はちょうど俺の誕生日で、何も知らないお前は、誕生日プレゼントとして俺にブルーローズを贈ってきた。
なぜこれなのかとイラつきながら尋ねると、お前は“花言葉が素敵だからです”と答えた。
「愛情を受けることなど有り得ない、同じ小崎家の人間とすら認められることは不可能……そう言いたいのか!?」
幼い俺は、昨年知ったことへの、そのどうしようもない気持ちを西内に八つ当たりという形でぶつけた。
そんなこと、出会ったばかりの男に言ったって仕方なかったはずなのに。
西内の困ったような顔がすぐに目に浮かんだ。
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