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小崎病院の医院長になり、正直両親からは、小崎家を大きくするための良い駒と思われている。
けれど俺にとってそんなことはどうでもいい。
今の俺を西内に見せられるなら、俺はそれで十分だから。
「医院長、そろそろお時間です」
「ああ」
ブルーローズの花畑へ背を向け、俺は病院内へと歩き出す。
西内、覚えているか??
お前が俺にブルーローズの花言葉を教えてくれた日のことを。
お前から送られた一億円でブルーローズを買ったのは、その花言葉を望んだから。
望めば手に入ると手紙に書いたお前。
確かに俺は手に入れただろ??
医者になることと、花言葉通りになることを。
「あっ、そうだ」
思い出したようにピタリと足を止める。
そして振り返り……。
「医院長って呼ぶな、気持ち悪い。昔みたいに呼べ、西内」
その言葉に西内は嬉しそうに笑う。
「はい、純也様」
あのとき受け取った西内の手紙は最後にこう綴られていた。
『貴方がこれから先、多くの奇跡を起こし、夢を叶え、神からの祝福を受けますように……』
それはまさしく俺が望んだブルーローズの花言葉。
俺は確かに望みを叶えた。
自分の存在意義も、西内が生きることも。
ブルーローズの花言葉。
それは……。
“奇跡”
“夢叶う”
“神の祝福”
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