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昔々、世界でも有数の財閥である小崎家に一人の男の子が産まれた。
両親はその子に純也と名前を付け、純也は大切に育てられた。
……と、純也は思っていた。
けれど実際は両親や周りからの愛情は乏しかった。
理由は簡単。
純也は小崎家の三男だったから。
小崎家において最も必要とされるのは跡取りである長男。
そんな長男の補佐や、他の財閥の御令嬢と結婚して財閥同士を提携させる次男は、長男の次に必要。
ならば三男はその次か??
いや、次男以降必要となるのは女だけ。
理由はもちろん他の財閥の御子息と結婚させ財閥同士を提携させるため。
それなら三男はいつ必要となるのか??
そんな疑問、今すぐに捨てろ。
なぜなら小崎家において三男という存在は必要ないものだから。
もっと単純に言うと、純也は小崎家にとって要らない存在だということだ。
けれど、もちろん産まれたばかりの純也がこのことを知っているはずはない。
それならば、純也はいつ、自分は必要のないもので、両親や周りからの愛情はなかったのだと知ったのか。
それは純也が9歳を迎えた誕生日のときだった……。
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