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純也の9回目の誕生日、純也は小崎家で行われた自分のための誕生日パーティーに胸を躍らせていた。
自分のために用意された煌びやかなその場所を心から喜んでいた。
そのときはまだ、小崎家に産まれた三男の自分も兄達と変わりのない愛情を受けているのだと、そう思っていたから……。
「坊ちゃん、旦那様と奥様からお誕生日のプレゼントですよ」
自分のためのパーティーとは言えど、両親は挨拶などで忙しく、自分の傍にはいられないということはこの頃の純也もわかっていた。
そのため、両親からのプレゼントを本人達からではなく使用人から受け取ることを何もおかしいことだとは思っていなかった。
「うわぁ!何だろう!!」
それどころか、“両親からのプレゼント”というだけで、それを無邪気に喜んでいた。
「花??」
使用人から受け取った四角い箱。
リボンを解き、ゆっくりとそのフタを開けると、そこには同じ種類の青い花がたくさん詰められていた。
「坊ちゃん、それはブルーローズですね」
「ブルーローズ??」
「青いバラですよ」
そう、箱に入った青い花の正体は“ブルーローズ”だった。
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