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その日を境に、純也の人生は変わった。
無垢な笑顔は消え、言葉遣いも荒くなった。
そして終いには、学校どころか外へも出なくなる引きこもりへと化した。
そんな純也を、両親は逆に幸いとばかりに関わらないようになった。
必要ないほどの多額の金を月に一度渡すだけで、純也の身の回りの世話は全て使用人達に任せた。
そして自分達は小崎家を大きくすることに専念するようになった。
純也は余計に荒れ、世話をしてくれる使用人達をも困らせるようになった。
我が儘で気ままで勝手な坊ちゃんを手に負えなくなった使用人達は純也の両親に相談し、誰か一人を専属として付け、一日中坊ちゃんから離れてはならない存在を作ることに決めた。
そしてついに純也が10歳の誕生日を迎えた日、ある一人の男が純也の前に現れた。
「はじめまして、私は西内と申します」
西内、そう名乗った目の前の若い男こそ純也の専属執事として用意された者らしい。
どう見ても自分とは年の離れた兄弟にしか見えない年齢。
人生これからだというときに、コイツは自分の生け贄とされたのか。
なんて可哀想な男だ。
まあ、きっとすぐに辞退するだろうけど。
目の前で笑顔を浮かべる男に、純也はそんなことを考えながら適当に返事をした。
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