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家の前で、久しぶりに、幼馴染の明日香に会った。
進学した高校が別々だったということもあって、時間が合わなくて、会う機会はほとんどなかった。
毎日のように会っていた幼馴染に対して、久しぶりだという感覚に捉われるのは初めてで、何だか不思議な気持ちになる。
「久しぶりじゃん」
明るい快活な声は相変わらず。
天然のふわふわ巻き毛を揺らしながら、俺の方に駆けてくる。
「元気してたぁ?」
長い睫毛をくるんと巻いて。
自慢の大きな瞳を強調するような化粧が似合っている。
明日香の学校は校則が厳しいから、帰りの駅とかでキレイにしてるんだろうな。
学校に行くときと帰ってくるときのギャップがすごいって、おばさんんがよく話してるのを、母さんが聞きつけて、なぜか俺に報告してくる。
はっきり言って、俺も明日香もその気がない。
けど、母さんとおばさんの中では、俺らは小さい頃から結婚することが決まってるらしい。
「相変わらずだよ。明日香も元気そうでよかった」
「あたし、元気だけが取り柄だからねっ」
この辺でも有数な進学校に入っているくせに、自分が頭がいいという自覚がない明日香。
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