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中学のときには、学年上位だった明日香も、今の学校に行くようになってからは、成績が伸び悩んでいるらしいという話は、母さんとおばさんのおしゃべりの延長で、俺の耳にも届いてはいる。
だけど、それを感じさせないのは、明日香の気遣いの賜物だろう。
明日香は、昔から一人で抱え込んで、爆発しそうになると、俺にケンカを売ってくる節があって。
短気な俺は、すぐにそれを買ってしまうため、明日香にとっては、手っ取り早いストレス発散法だったに違いない。
「よく言うよ、頭いいくせに」
「中学のときは『頭いいね』なんて言われてたこともあったけどねー。今はそうでもないって」
軽くそう話す明日香からは、あまり悩んでいる様子は感じられず、大したことではないのかと思ってしまう。
「だから、今日は勉強教えてもらおうと思って、早めに帰ってきたんだ。友里、頭がいいからさ」
そう言われて、明日香の隣に、きれいな黒髪の女の子がいることに気づく。
明日香に比べると地味。だけど、とても、かわいかった。
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