いつか終わりを迎えるレクイエム

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一哉くんがかすかに息をはいて、私の肩にこつんと額をのせる。 「一哉くん?」 「あいつ、涼のこと好きだろ?」 「え、ええっ?」  突然の話題についていけず聞き返すも、ふと思い出す。確かに学生時代に告られていた……。過去のことといえ思い当たって一瞬黙った私に気づかないわけがなく、一哉くんはムッとしたようで、そのまま首をかしげるようにして、ぺろりと首筋を舐めた。 「きゃ、なな、急に」 「罰」  ちゅ、と音をたてて、一哉くんが首筋にそのままきつくキスマークをつける。 「ちょっと、やだ。そんな目立つ……!」 「だから罰なんじゃん」 「あのね……」  一哉くんの頭をぐいぐいと押しのけると、ムッとした顔で一哉くんがそのまま後頭部をぐっと引き寄せてキスをする。  深いキスに息がつけなくなって、頭の芯がくらりとする。 「……嫉妬?」  息継ぎの間すら許さないようなキスの合間に聞いてみる。 「っせー」  こういうところはまだ10代だなと、なんだかかわいくなって、重なるキスに応える。 「……なんだよ、もう……」  戦意喪失したかのように一哉くんが離れる。 「ふふ、嫉妬してくれるなんて嬉しいなー」  ちょっとどころじゃなく嬉しくなりながら背伸びして一哉くんの頭をぽんぽんと撫でる。  よりムッとした顔で、一哉くんが私から離れる。 「ガキ扱いしたこと、後で後悔すっかんな」  こういうことを言うあたりがかわいい。  嫉妬してくれるだけ愛されていると分かる。私は、ふふふと小さく笑い続けながら、一哉くんの腕に腕をからめる。  本当はいけないけれど、スタジオに戻るまでの間の時間、少しくらい恋人として甘えてもいいかな、なんて思いながら。
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