いつか終わりを迎えるレクイエム

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 ツアーファイナルの東京での公演は、あまりの問い合わせの多さに、急遽機材席を解放したり、追加のスタンディング席を用意して迎えることになった。  トーイが客席に挑発するように煽りに煽れば、熱狂的な悲鳴とも怒号ともつかない叫びが箱を音の渦にたたきこむ。  舞台の袖からでも、まるでとぐろを巻いた大きな怪物がうねっているようにすらみえる。  この世界が、殲滅ロザリオのトーイのものにしか見えない。  武者震いすら感じながら、トーイのパフォーマンスを見守る。  ステージをフルに使って飛びはね、走り、壊れてしまったかのような勢いで全身で音楽を表現している。  決して体格がいいわけではない、その細身の身体からどうしてそんなパワフルな音がでてくるんだろう。  ずっと心臓が切なくも激しく鳴り続けている。  目をいっときも離すことなんてできないせいだ。 <next to you  誰しもが蹂躙する  この地の果てに  go to hell  銃声を魂にこだまさせ  我を解き放て>  トーイはマイクを握りしめて、体も魂魄もすべて振り絞るように歌い上げる。  世界を見る、と決めたトーイの覚悟が、殲滅ロザリオの音を飛躍させていた。
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