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「みんなの尽力のおかげで、本当にいいツアーになりました。リーダー!」
いつもよりテンションが高めなプロデューサーが司さんを呼ぶ。
「本当にとても気持ちいいツアーでした。お客さんも、そしてスタッフの皆も。まだまだバンドとしては未熟で、いろいろ反省すべきところも多々あります。進化の途中ですが、このツアーのチームに本当に助けられました。バンドを代表してお礼をいいます。これからもよろしくお願いします」
「それでは、世界の殲滅ロザリオ始動に向けて! 乾杯!!」
わっとグラスがぶつかりあい、ざわざわと場が盛り上がり始める。あちこちで労いの言葉がかけられ、司さんや丹野さん、坂崎さん、私たちはプロデューサーやサウンドエンジニアなどいろんなスタッフのそばに行ってお酒をついでまわる。
ちらりと一哉くんの様子を伺うと、おとなしくノンアルコールを口にしながら、音響の男の子と話をしている。
あまりはしゃいだ飲み方をしないせいか、一哉くんは打ち上げでは静かだ。
「おつかれさまです! すっごいいいライブだったねー。関われてよかった!」
テンションが高めな衣装スタイリストのライラさんとメイクの本間ちゃんと小さく乾杯する。ずっとツアーで行動をともにして、2人とも役割上いつもバンドのそばにいるせいか、気づくとけっこう話す仲になっていた。
「トーイの衣装考えるの、楽しくって。あの子、なんでも着こなしちゃうからー」
「でも涼さん偉いよ。トーイくんは意志強いしね、専属マネ大変だろうなーっていつも思ってた」
「うーん、慣れたかな……。むしろこの業界に慣れるのが大変だったかも」
「そっか、全然ちがう業界だもんね」
たわいもない話で盛り上がって、場がふけていく。
一哉くんが少し気だるげな顔つきで、そこかしこでお酒の酔いに盛り上がっている場を眺めている。
入れ替わり立ち替わりトーイの元に挨拶にきたスタッフもまばらになって、一哉くん自身も挨拶に行くのも一通り終えている。周りの様子を見ながらも、気が合うらしい数人の10代同士の若いスタッフと談笑している。
そのうち飛ばしすぎて潰れかけ寸前な陣さんがふらふらと一哉くんに近づいて、じゃれかかっている。
それを迷惑そうな顔であしらいつつ、ひとしきりその辺りで笑いが生まれている。
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