第1章

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メリカ国民がどうなるかといったレベルではなく、人類という種族が生き残れるかど うかが問われているのです。その為にもノアとアンティルを最大限活用する必要があ ります」 「よし、ノアとアンティルに居住してもらう国民を大至急リストアップして移住させ るんだ」 「了解しました」 「そして、隕石の件は会見を開いて全国民に公開しよう」 「そんなことをしたら民衆は大パニックに陥ります」 「パニックが起きても、何も知らせないよりはましだ。隕石の脅威を知った市民の中 には自分達で対応出来る物もいるはずだ。少しでも可能性を高くしたほうがいいだろ う?」 「仰るとおりですね。了解しました。国民には大統領から直々にお話しされます か?」 「あぁ、もちろんだとも」 9  西暦二〇一七年六月二十三日。  マルティネスは、ホワイトハウスのイーストルームで演説を行った。 「皆さん、今日は非常に重要なお知らせをしますので、心を落ち着けて聞いて下さい。 現在、アメリカは世界各国から核ミサイルによる攻撃を受けていますが、アメリカか ら意図的に先制攻撃をしたことは人為的ミスによるもので、本意ではありません。 現在、この事実を他国に伝えているところです。この攻撃はしばらくは止みそうがあ りませんので、なるべく地下シェルターから出ないようにして下さい。シェルターを お持ちでない方は、近所のシェルターをお持ちの方にしばらく泊めてもらえるようお 願いして下さい。 さらに重要なお知らせがあります。GMTの六月二十九日午後五時頃、地球に隕石が衝 突します。衝突する場所はハワイの南南東百キロメートルの地点です。 この隕石は直径八キロメートルと非常に巨大なもので、秒速五十キロメートルの速度 で地球に向かって来ています。これにより地球上のすべての生命体に甚大な被害をも たらすことがわかっています。 私は全てのアメリカ国民に生き残って欲しいと思っていますが、それは難しいかもし れません。しかし、私は皆さんの勇気と冷静さを信じています。皆さんに神のご加護 を」  ひと通りの演説が終わったところで、マルティネスはカメラに手を振ってホワイト ハウスに戻ろうとした。その瞬間、ホワイトハウスは閃光に包まれ、ホワイトハウス の周囲十キロメートルにある建物や人々は蒸発した。  ネメシスは大統領が会見を開くであろうことを予見していた。会見が始まるのを待
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