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ちょうどその頃、レイとアナ達は一号機のすぐそばで見学をしていた。突然ものす
ごい爆音を聞いたのとほぼ同時に、凄まじい衝撃波に晒された。最前列にいたレイと
アナは皮膚が溶け落ちるほどの重度の火傷を全身に負っていた。同時に強烈な放射能
を浴びて、二人とも意識を失った。
被曝を免れた原発の職員は、至急救急車の手配をした。見学をしていた生徒の中で
もレイとアナが最も重症だった為、二人はヘリコプターで病院へ搬送された。その後、
生徒全員と教師、そして被曝した職員達が救急車で病院へ運ばれた。
レイとアナの症状は深刻だった。全身に重度の火傷を負い、眼球・耳・鼻・指は溶
けてなくなっていた。その上高濃度放射線を浴びていて、多臓器不全を起こしかけて
いる状態だった。治療にあたった脳外科医のモーリスは難しい決断を迫られていた。
「このまま通常の治療を施しても助かる可能性はほとんどない…… 成功の保証はな
いが今はあれを試してみるしかないか……」
モーリスは助手のサムに確認した。
「サム、クアンタムキューブの試作品は完成しているのか?」
「はい、試作品が二機完成しています」
「よし、そのクアンタムキューブにかけてみよう。この手術は時間との戦いだ。早速
手術開始だ」
モーリスはレイとアナの両親に現在の状態を説明し、二人を助けるにはクアンタム
キューブにかけてみるしかないことを説明し、手術の了承を得た。
クアンタムキューブとは小型量子コンピュータである。大きさは一辺二十センチ
メートルの立方体だ。非常にコンパクトだが、既存のスーパーコンピュータの数億倍
の処理能力を持っている。本来は医療機器として設計されたものではないが、人間の
脳の性能を目標として三十年以上に渡って研究開発が続けられていた。
手術室に運ばれたレイは頭蓋骨の上半分を切り取られ、脳がむき出しになっていた。
この状態で脳に対して超高精細スキャンをかけ、千数百億個の脳細胞、そしてそれら
が結合して出来ているニューロンまで一つ一つ全ての情報を吸い出していった。
脳から吸いだした莫大な記憶情報とその配列情報をクアンタムキューブにコピーし、
負の電荷を持った電磁ケーブルで脳とクアンタムキューブを接続した。これでレイの
意識はクアンタムキューブに移行されるはずだ。アナにも同様の手術が施され、二人
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