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まっ、俺から言えることは1つ。思春期の相手をする程暇じゃないっての」
優樹の隣に居て、つっけんどんにしか取り合ってくれない新庄鹿子。
「で、でも。大っぴらにしないようにしたって事は、先輩も馴染んできたってことですよね? わたし、嬉しいです」
左手端。長身な体躯に合わず、おろおろと的外れなフォローをかます阿部賛歌(ステラ)。
そして中央。両手で収まる大きさの茶碗で抹茶を啜る部長、羽後玲於奈。一息ついて、
「……付き合えば良いんじゃないの?」
と。
各々思う所をほざいて下さった訳だが、どれもろくなものではなかった。
特に部長。
「流石に無い」
「何で?」
「逆に訊ねる。何故その発想に至った? あの女の危険性を聞いた上で」
「ん~。だってそれって聡己が相手を知らないからじゃん」
「これだけの事をされてまだ足りないと仰られるかい!」
「それは聡己が受けた感想でしょ。
確かに向こうの表現はおかしいけど、それが向こうの愛の形だってこと、聡己はどれだけ分かってあげてる? 怖いっていう先入観からでしかその子を見てないでしょ?」
少々納得がいかないものの、部長の言い分は的確に壺を押さえていた。
「乙女の恋心に理屈無し。断られようが何があろうが本気なら諦めきれない。だからこそ断るなら優しく厳しく、且つさっぱりと、後腐れのないように。それが最低限の優しさ。ただお断りと言って終わりは流石にあんまりだよ」
とても納得がいかないが、そういうものなのかと一息呑み、なんとか理解した。
「それにほら。聡己って目に見えて甘いし。その癖素直じゃないし。可愛く見えちゃうんじゃないの? れおの趣味じゃないけど」
「意味が分からない」
……果てしなく納得がいかない。最初、私はあの女の対処について訊ねた筈のに気づけば乙女心など説かれ、最後に至っては遠巻きに私がフラれている。要は私の姿勢がいけなかったということなのだろうが、そもそもあの女とは関係を繋げたくないのだ。ただでさえ転校して直ぐこんな変人集いのなんちゃって茶道部に入れられクラスに居場所が無いというのに、学区外でまで気を張りたくない。それがあの狂人とくれば尚更だ。
「私が聴きたいのはあの女との絶縁の仕方であり向上の方法ではない」
「いやだから、ん~……わっかんないかなぁ~」
どうもそこを汲み取ってくれない玲於奈部長。
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