オレの好きな人

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さらりと肩に流れるロングヘア。 スプーンをもった指のしやなやかな細さ。 食べ物を口に運ぶ時の仕草のキレイさ。 今日も先輩は、きれいだ。 同期で女の割に男っぽくさばさばした感じが気の合う佐原が、何か話しかけて、それに先輩が微笑みながら頷いている。 お昼時で混んでいる社員食堂では、たくさんの社員がそこかしこで笑いあいながら順番を待っている。 今日のオススメのビーフカレーを口に運びながら、そっと長テーブルを2つ挟んだ正面のテーブルの様子をうかがう。 直属の上司である高梨先輩が千夏先輩と佐原との3人でランチをとっている。 食べているのは、どうやら同じビーフカレーだ。 これでランチが終わったあと、共通の話ができる。 頬が緩みそうになるのを意識した時、ふっと佐原が顔をあげてオレの方を見て、ニヤリと笑う。 それが何を意味しているかわかるから、嫌味な奴だと思う。 嫌な奴だけど、でも。 佐原はそのまま高梨先輩たちの方を向いて、そして高梨先輩に何か話しかける。 オレだってあの輪に入りたい。 佐原に何か言われた高梨先輩が顔をあげて、オレの方を見る。 ああ、佐原の奴、さすがだ。分かってくれてる。 涼しげな目がオレをとらえて、そして微笑んで手を振る。 抱きしめたら柔らかそうな、でもどこか守りたくなる微笑みにかあっと身体中が熱くなる。 先輩。 高梨先輩。 好きです。 ずっと見ていたいのを我慢して頭で会釈して、目の前のビーフカレーを口に運ぶ。 さっきよりペースが早くなる。 ドキドキしている胸の奥を、唯一ばれてしまった佐原以外には悟られたくなかった。
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