男はくだらぬことほど闘争心が湧いたりする

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石畳の洒落た通りは、街灯もアンティーク感を漂わせて全体のイメージを敢えて統一しているのがわかる。 夜は尚更異国の雰囲気を感じさせ、それに倣った店構えが並ぶ中、その店はひっそりとそこにあった。 今はもう照明の落とされたガラス張りの大きな店舗と店舗の間、半畳ほどの狭いステップから地下に繋がる階段を降りていく。 暗がりをランプの灯りが照らす中、重厚そうな扉を押し開くと、クラシック音楽と店内の灯りが漏れてきた。 「いらっしゃいませ」 耳に心地よいテノールで迎え入れられる。 浩平が先に店へと足を踏み入れたが、俺の方が背が高い為店の中をすぐに見渡せた。 それほど広くはない、廊下にカウンターが添えられたような細長い空間で、しかし奥には僅かながらにテーブル席があるようだった。 カウンターの中に、先ほどの声の持ち主が居るのも見える。 が……しかし。 彼が、浩平の言っていた『美人』なのだろうか?
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