第1章

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空から穏やかに雪がふりそそいでいる。 ろぼうに積み重なった白い雪が、春の訪れがまだほど遠いことを告げていた 。 せわしく行き交う人々のなか、一人の幼い少年が道端にうずくまっていた。 くつをはいていない少年の足は赤くはれあがっていた。 少年は寒さに震え、手と足をこすりあわせていたが、やがて感覚さえなくなる。 体がだんだん重くなっていき、目を閉じかけたとき、なにかやわらかいものが肩にかかった。 少年が上を見ると、見知らぬ女性がいた。
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