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少年の肩にかかっているものは、女性の着ていた羽織だった。
女性のぬくもりがまだうっすら残っている。
女性の後ろには彼女のものらしい馬がいた。
「なぜこんなところにいるの?」
少年はその質問に答えようとして、なにも思い出せないことに気づいた。
「あなたはどこにいくの?このままここにいるなら、待つのは死のみだわ」
「――ぼ、くは」
(―僕は?)
すがるような思いで少年は自分の手のひらを見たが、なんの言葉も浮かばない。
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