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少しずつ意識を取り戻し始めると、身体の鈍い痛みに気がついた。
重い身体を起こそうとすると、まるで稲妻のように全身に響く激痛。
思わず、「う゛っ…!」という声がでた。
脈打つような痛みへと変わり、視界がチカチカとしている。
しばらくしてゆっくりと痛みを堪えながら起きあがると、見覚えのない場所に自分がいることに気がついた。
「ここは…?」
無機質なコンクリートの壁に囲まれ、冷たい床に散らばる新聞紙。
見渡してみると、見覚えのあるボストンバッグが目に入った。
「あっ…!」
あのボストンバッグを拾って、その中身を確認し、ことの重大さに気づいた僕は交番へ行こうとして、それで身体に痛みが走って…。
それ以降の記憶がない。
きっと気を失ったんだろう。
そう考えながら、自分の身体に手を這わした。
すると、後頭部が濡れていることに気づく。
手をみると赤く染まっていた。
「なっ、なんだこれは…!」
自分が頭から血を流していることにひどく驚き、身体が震えだした。
急いで身体に目をやり、傷がないか確認していくと、無数の痣があった。
「どうして…、どうしてこんなことに…!」
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