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鎌を振り下ろそうとしたとき、悠斗の口から鮮血が吹いた。
悠斗の前にいた男がボフンッと煙を上げ消えた。
悠斗の背から、指先が抜けていた。
貫きつつも、指先は焔を宿していた。
ゆっくりと傾いていく悠斗の脇から、焔を宿した五本指が揚げられる。
手の根元には、ビニール袋を被った男の顔が覗いていた。
「アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ………[ガシッ]…ヒャ?」
男が悠斗を見た。
心臓を貫通されながらも、悠斗は男の腕を掴んでいたのだ。
「お、俺は不死身だぞ!二人とも今だっ!」
悠斗の口から、血と怒号が放たれる。
同時に間合いを詰めていた葉とサフィオが斬りかかるが、
「コピー、『宝石』」
男と二人の間に白い宝石の壁が現れ、二人の攻撃を阻んだ。
「コピー、『透化』」
スゥ………スカッ!
「なっ!?」
悠斗を貫いていた男が消えた。
悠斗が首を振り男を探し、見つけた。
消滅していく宝石の壁の向こう、サフィオと葉の真後ろ。
「イ・マ・ジ・ン『プラズマ』」
両掌に高電流を出現させた男が二人の背に手を
「『ガーディ』、『フェザーサークル』
!」
キィィン、バリバリバリバリッ!
二人の目の前に透明の壁、結界が現れ、男の攻撃を防いだ。
茶色い羽根が悠斗の周りに円を作り光る。
悠斗の傷がみるみるうちに回復していく。
「たく、夜勤中に電話がかかってきた時はイタズラと思っていたが」
上空から声。
上を見上げるとそこには、
「結構、大変なことになってるな。」
魔剣学園 魔法学科担当教師タランチュラ・ホークが夜空に浮いていた。
「ЖГМД∝∵И∞∮∴??♯♪?⊿?」
「あ?何て言ってるかわからないぞお前。」
背中の翼を羽ばたかと思うとタランチュラは男の背後に現れ、首をガッと掴む。
「主と聖霊の御名において、退けぇッ!!」
バァンッ!と、男とその首を掴むタランチュラの手が眩しいほど光ったが
「?????、?」
男に、何も変化は起きなかった。
「チィッ、ほとんど効いてねぇ!コイツ魔のモノじゃねぇのか!?」
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