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「<∇Ж≧≧∇М♪?⊿М?∇≧<」
立ち上る砂煙の中から無傷の男、クレイがユラリと現れる。
「イ・マ・ジ・ン『WORLD』」
クレイの左右の手が高く掲げられる。
天空からの恵みを受け取るような所作だった。
クレイの動きに連れられてタランチュラ、サフィオ、葉、悠斗が空を見上げる。
「アァ∮∀アァ、世界を変えようか。」
「くっ、『ガーディ』!」
タランチュラが咄嗟に全員に結界を施すと同時に、クレイの体から膨大な狂気、それに魔力が放射され、止めに入ろうとしたタランチュラの足が止まる。
魔力を練っていたサフィオや葉と悠斗も硬直。
前方に立つクレイの姿が揺らめく。
クレイの能力によって周囲の大気が変容し、陽炎のように屈折現象を起こしたのだ。
巨大な狂気は、タランチュラの結界で遮られ四人は無事だったが
「な、なんだよあれ?」
悠斗の声が漏れる。
視界いっぱい、一部のグランドの風景が一変していく。
漆黒の夜を浸食するように、白と黒が入り交じる縞々が広がっていく。
グランドの土は、腐食し、青い粘液と硫黄の黄色という原色に塗り替えられていく。
地面が隆起し、紅い肉腫の塊となっていく。
「なんと、おぞましい。」
タランチュラの翼に隠された瞳は、変わりゆく世界を左から右へと追っていく。
一面が白と黒の空、肉腫と古代語に覆われた風景、腐食の大地。
まさに、生理的嫌悪感を催す地獄のような世界が広がっていた。
「これは………現実なんでしょうか?」
「俺は、夢でも見ているのか?」
「何だよこれ?何だよこれはっ!?」
生徒三人は、誰にも答えられない問いをする。
ギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャ
異界の空から、タランチュラ達に向かって降下していく無数の物体。
コウモリの翼に蛸の顔、化け物の群れが、無音で飛来して
「クレイ、やり過ぎだ。『ひれ伏せ』」
どこからか聞こえる男の声とともに怪物達が動きを止め、王を崇める家臣のように服従の姿勢を取った。
異界の生物どもの中心に、肉腫の塊の上にクレイが立っていた。
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