一億円じゃたりない

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オレの向かいに座っていた彼女が言った。 「今日は本当にありがとうございました、とっても楽しかったです、そろそろ帰らないと終電になっちゃうので」 ニッコリ笑う彼女は直視出来ない程、可愛いかった。 メガネの連れの女の子が付け足した。 「いっぱいおごってもらっちゃったけど大丈夫?良いの?」 両方とも、礼儀正しくて良い娘だ。 「うん、気にしないで、こちらこそありがとう、こんなに楽しかったのは初めてです、まるで夢の様でした」 「うん、本当に、なんか楽しいパーティーみたいでしたね」 彼女も喜んでもらえた事が、一時の共感がオレは嬉しかった。 そしてオレは勇気を出して、最後のお願いをした。 「あの、また一緒に遊びませんか、また皆でカラオケやら、アニメのイベントやら行きませんか」 彼女達は二人見合わせて頷いた。 「うん、また遊んで下さい、連絡先教えますね」 おお、メッチャ嬉しかった! オレ達はメアドと携帯番号を交換した。 そして彼女達、いや天使達は店から出て行ったのだった、去り際に振った手を、まるで羽の様にはためかせ。 オレは閉店のギリギリまで残り、余韻を楽しんだ、この店で使ったお金は6万円とちょっとだった。 「ありがとうございました」 オレも店から出て、タクシーを拾い帰路についた。
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