一億円じゃたりない

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足取りも軽く、次にオレは夕飯を取ろうと思ったが、一つ閃いた、ここはメイド喫茶にしてみようと。 元々、こう言うお店は殆ど行ったことが無い、興味は有ったが、何か場違いな気がして足が進まなかった、でも今日は好きな物を好きなだけ頼んで、メイドさんのおねだりをいっぱい聞いてあげられる、これは楽しいと思ったのだ。 しかし、オレは気付いてしまった、 何しろ今着ている物と言ったら、ヨレヨレのTシャツに薄汚れたジーパン、スニーカーなんかは仕事にそのまま使っているもんだから、爪先が捲れているし、 これじゃカッコ悪い、よし、新調しよう! オレは、行き慣れないお店は入り難いので、よく行く、ユニシロで買う事にした、 時間もセンスも無いので、マネキンの着ていた物を上から下まで全部買った、お洒落なTシャツ、お洒落なジーパン、お洒落なジャケット、お洒落な革靴、お洒落な帽子で3万円でお釣りがきた、着ていた服は処分してもらった。 よし、これでいざメイド喫茶へ! 「お帰りなさいませご主人様ニャン」 おお!想定していた事とはいえ、実物を目の前にすると緊張するわ、 「よ、よろしくお願いいたします」 「ご主人様は始めてのご来店かニャン」 「そ、そうです」 「でしたら、ご説明しますニャン、この店のメイドには全部ニャンニャン語で話して欲しいのですニャン、語尾にニャンを付けるだけですニャン、よろしいですかニャン」 「わ、分かったに、にやん」 「ありがとうですニャン、その帽子似合ってるニャン」 帽子を誉められた、今までのオレなら絶対買ったりしない帽子、嬉しかった、そしてメイドさん可愛いじゃん、これはハマる人の気持ち少し分かったニャン あ、いや、こんなに素直に楽しめるのも、やっぱり一億円のお陰だとオレは思った。
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