一億円は遠く

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「でも、こんな大金の使い道、僕一人じゃ……」 「決めるんだ。おまえならできる。自分を信じろ」 「ちょいと! 夜中に大声でなにしゃべってるんだい!」 「クッソ。こんなときに邪魔が入りやがった。おい、なんとかできねえのか」 「無理言わないでよ」 「だいたい、なぜ鍵をかけてなかった?」 「ママは子供部屋に鍵をつけない主義なんだ」 「いい加減にしないと、ブレーカーを落としてやるからね」 「待ってよ、ママ。いい? よく聞いて。僕は今、億万長者になったんだ」 「寝言は寝ていいな。三つ数えるうちにやめないと、本当に落とすからね。いーち」 「おまえのママ、気は確かなのか?」 「ママは頭に血がのぼると、見境がなくなるんだ」 「にー」 「おいおいおい。よせ! よせってば!」 「ママをとめて」 「任せろ! ぐはっ」 「と、友達に右ストレート決めるなんて」
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