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なのに。
一億円を手にしてから、数ヵ月後。
妻と息子が買い物に出掛け、俺一人留守番していた時の事。
突然、呼び鈴が鳴った。
誰だ?
テレビを見ていた俺は、面倒に感じながらも立ち上がり、ディスプレイを確認する。
「え……」
そこに立っていたのは、スーツ姿の見覚えの無い男が二人。
前に立つ人物は、にこにこと愛想の良さそうな優男。
しかしその後ろに立つ人物は、体が大きくて人相が悪く、正直関わり合いになりたくない雰囲気を醸し出していた。
居留守をしたい気分だった。が、俺の居ない時にまた来て妻に対応させるのは、忍びない。
玄関の扉を開ける。
「はい……?」
「はじめまして」
簡単な挨拶をした優男は、俺の名前を知っていた。何者だろうとドキドキしていると、続いて自分達の名前も名乗ってくれる。
そして……彼等がどんな商売を行っているのか、という事も。
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