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そんな智子とは大学時代に知り合った。
同じ学部で同じクラスでしっかり者の智子はクラスの中でも人気があった。
まさかそんな彼女と結婚することになるなんて考えてもいなかったし、考えることもできなかった。
クラス一の人気者とクラス一の病人なんだから仕方ない。
まるで水族館のペンギンとカクレクマノミぐらいの差があった。
そんな私を隣の席だったということだけで色々話しかけてくれて、相談に乗ってくれた。
そんな風にして私たちは始まったんだ。
私と智子は少しずつ打ち解けていって、距離は縮まっていった。
主に私の相談に乗ってくれてただけのように思えたのだが、今、智子にそれを言うと「それは違う」と怒られる。
私は病気のせいか悲観的になることが多い。
小学生の時にいじめに遭い、中学でも延長線上のようにそれは続いた。
その頃から精神を病んでしまっていた。
大学に入ってからカウンセリングを受け始め、病院に通い始めた。
感情を押し殺すことに必死になり、その溜まったストレスや負の感情を自分を痛めつけることで解消していた。
対人関係は苦手で一人になることが多かった。
智子はそれを見て「この人は私が支えてあげたい」と思っていたとかいないとか。
「どうしたのよ? なにがあったの?」
私の涙を見て、また何か考え込んでいるんだなと察したらしい。
もう何年も付き合っているとそんなことまで見抜けてしまうようだ。
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