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バーのマスターは私を見て目を輝かせた。
やはり、マスターは私と謎の紳士の会話を聞いていたのだ。
しかし、話を聞かれてしかたなくマスターを選んだのではない。
謎の男に会う前、マスターが資金繰りに困っている、と吐露していたからだ。
マスターの泣き言なんてこの店に5年以上通い詰めているのに初めて聞いた。
少し前にこの店は簡単な改装をしたのだが、間を取り持った業者が料金を持ち逃げしたらしい。
その額が丁度100万くらいだった。
マスターは誠実な男だ。
色々な店に行ったが、結局マスターの人柄でこの店に戻って来てしまう。
妹の件もそうだが、友人よりも心を開いていていつも相談に乗ってもらう。
私にとって頼れる兄貴的存在だ。
だから、マスターを選ぶ事に迷いは無かった。
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