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【山の中】
車で行けるところが限界に達したので、適当な場所に車を止める。
ここから先は徒歩で行くしかなさそう。
ええと確かしばらく道なりだったよね……。
整備された道を早足で歩いていく。
――で、Yの字に別れている場所が出てきたらそれを左に曲がって。
そして進入禁止という看板とロープの張られた所をくぐり抜けるだけ。
……。
私は無言で歩いていく。と言うか、極力何も考えたくなかった。
考えてしまうと足取りが重くなってしまうから。
あっ……。
しばらく進むと目の前に聞いた通りの看板とロープが現れた。
朝だから……大丈夫よね?
夜になる前に帰って何日かに分けて探索すれば怖くないよ。
うん、大丈夫……。
怖じ気づく自分にそう言い聞かせる。
そして決意をかため、私は張られているロープの下をくぐった。
後ろを振り向く。
なんだろう……。
一歩踏み出しただけなのに空気が淀んでいると言うか……。
誰かに見られている気がして落ち着かない。
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