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こんな高そうなマンションに住むなら、どこかのビジネスビルのワンフロアに事務所でも設けた方がよっぽど良さそうなのに。
エレベーターで二階に上がり、202号室のインターホンを押した。名札のところに、『黒木場探偵事務所』と書いてある。
ドアの向こうから、先ほどと同じ男性の声が聞こえ、開錠された。
『ようこそいらっしゃいました』
中からは、思ったよりも随分体格がいい髭を蓄えた男性が出て来た。
「よ、宜しくお願いします」
「ささ、上がってください」
体格にそぐわない柔和な仕草で迎え入れてくれた彼は、俺を奥のリビングルームに通した。部屋の中心にソファが向かい合って二つ。その間に木製の机が置いてある。リビング兼応接間と言ったところか。
ここまでに見た限り、リビング以外に数部屋あり、キッチンも広い。立派な部屋だ。
「こちらに座ってお待ちください」
体格のいい彼は廊下に戻り、違う部屋に入って行った。ここからあの写真の女性、黒木場奈々が応対してくれるのだろう。
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