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「なるほど、では公織さんの依頼内容をおさらいしますね」
大柄の男性、石中賢は自分がとったメモに目を落としながらすらすらと喋る。
結局応対しているのは石中さんで、肝心の探偵本人は石中さんの隣に座りこそすれど、あらぬ方向を見たままで特に何も言わない。
確かに金髪だし目つきも決してよくはないけど、初対面でクソガキ呼ばわりはあんまりだろう。校則で髪色の制限がないんだからいいだろ、別に。
「依頼主は公織工さん。高校3年生。今回の依頼は行方不明になったご友人、美作ありさ《みまさかありさ》さんを探すこと。料金は後払いの完全成功報酬です。こんな感じでよろしいですか」
「はい」
完全成功報酬ということで、依頼内容が達成されて初めて料金を払うわけだが、高校生にとってそれは並大抵の金額ではなく、なんとか絞り出したお金でギリギリだった。
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