第1章

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佑香の係には12名の営業社員がいる。 中堅の彼は、新人をサポートするため、 係長の席から一番離れた反対側。 だからその姿を常時目にする 位置にいないことがせめてもの救い。 懇親会でもない限り、簡単に 接触の機会がもてるわけではないことが、 うまく、バッファーになっていた。 少なくとも、佑香はそう思っていた。 冷却期間があれば、彼も忘れてくれるだろう。 そう思っていた。 特に冷たくあしらうわけではなく、 業務上必要な時にも、プロフェッショナルな 態度で毅然と接することで、 佑香は あれは間違いで、もう、 二度とそんなことは起こりませんよ、 というサインを発し、隙をみせなかった。 不器用なほど頑なに...
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