第1章

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ーーーーーーーーーーーーーー 「それは困ったわね」 幼馴染の真由美が言う。 夕方のハッピーアワーで待ち合わせた ピザ・バーでは軽快なジャズが流れている。 「ね、きっと、その子、本当に佑香に 首ったけなのよ」 「うん、そーなのかなぁ... 単にからかわれているだけのような気も するんだけど... 彼、調子よさそうだし....」 「でも、やっぱりちゃんと呼び出して、   確認するしかないわね。 仕事なんだもん... でも佑香も佑香よ。 そんなに隙だらけで、どぉすんの。 職場なんて誘惑だらけよ。 あとで仕事できない羽目にならないように、 ちゃんと自制してよね!」 薄焼きのピザをほおばりながら、 真由美がからかい半分で、 たしなめる 「あ、それはぜーんぜん大丈夫。 これでも仕事バリバリの キャリアウーマンで通ってるのよ。 職場では。 公私混同なんてするわけないじゃない!」 ピザのかけらをピルスナーで落としながら、 佑香も話しに興じた。 でも、 真由美にさえ、 彼のこれまでの誘惑めいた言動についてこそ 話しはしたものの、 給湯室での出来事や、 クラブのことについては、 伏せていた。 ---上の空で、取引先と当方に、 やがて、大きな損害を生じさせるところだった。 これまでは成績優秀だった彼... 自分のせいかもしれない。 とにかく、呼び出して理由を聞くしかない---- 佑香は、真由美につきあってくれた 礼を言って、ふたりで、バーを後にした。
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