第1章

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「そ、そのことではありません!」 どうにか取り繕いつつ 仕事の顔に戻る。 「今回、取引先の三村商事様のほうから、 クレームのお手紙をいただきました。 その件について、 伊藤君に確認したいことがあります」 一瞬キョトンとしたような表情をして、 彼が口を開いた。 「はい。  その件については、確認はとれています。  僕の単純なミスはありましたが、  損害を出す前に、  気づいて、キチンと対処しました。     それは部長同席の上、先方様にも  ご納得いただいて、 この件は  完了した案件だったと思いますが?」 ーーー確かにそうだーーー  すべて処理は済んでいる。  経理のほうでも同時に不具合を把握していて、  手紙が来たころには、すべて同時進行で、  回収作業が進んでいたのだ。  あとは、直属の上司として、  事故防止のため、その原因の追及、対策    をしなければならない。 ーー原因の追究ーー...  優秀な部下が、ケアレスミスをした原因...  今日は、その追及が目的だったはずだ...
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