1人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
「そ、そのことではありません!」
どうにか取り繕いつつ
仕事の顔に戻る。
「今回、取引先の三村商事様のほうから、
クレームのお手紙をいただきました。
その件について、
伊藤君に確認したいことがあります」
一瞬キョトンとしたような表情をして、
彼が口を開いた。
「はい。
その件については、確認はとれています。
僕の単純なミスはありましたが、
損害を出す前に、
気づいて、キチンと対処しました。
それは部長同席の上、先方様にも
ご納得いただいて、 この件は
完了した案件だったと思いますが?」
ーーー確かにそうだーーー
すべて処理は済んでいる。
経理のほうでも同時に不具合を把握していて、
手紙が来たころには、すべて同時進行で、
回収作業が進んでいたのだ。
あとは、直属の上司として、
事故防止のため、その原因の追及、対策
をしなければならない。
ーー原因の追究ーー...
優秀な部下が、ケアレスミスをした原因...
今日は、その追及が目的だったはずだ...
最初のコメントを投稿しよう!