第1章

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ーーこの件についてはーー うろたえる佑香を さえぎって、 言葉をつないだのは、彼のほうだった。 「この件については、 言い訳するわけではありませんが... 今日、この場に呼び出したのは、 本当は、 係長も気づいているのでしょう? なんで、僕があんな単純なミスを 犯してしまったのか?.... 仕事が手につかないのか?....」 ーーーーーーーーーーーーーーー 窓辺には夕暮れが迫っている。 オフィスも残業以外の 社員はもう、帰宅してしまっている。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 「本当は、僕の気持ちを確かめるために 呼んだんでしょう?」 ーードキッーー 「わかっていながら、 なんで、こんなことを.... 係長もあの晩、僕の気持ちにこたえ てくれたじゃないですか? それともただの思わせぶりですか?……. なんで、ちゃんと向き合ってくれないんですか?」 怖れていた言葉が、次第に熱を浴びつつ、 矢継ぎ早に飛んできた.... ---だって、それは公私混同だし....--- ことばにならない..... 「なんで僕がこう言うのか... わかりますか? なんで僕が係長に惹かれているか.... 知ってました? 係長は、 ちゃんと僕を指導してくれるし、 普通だったら、面倒くさがって スルーしそうなところも、 時間さいて、やってくれました。 僕、覚えこむまでに時間かかることも ありましたよね? 2,3回じゃ済まないことも。 それなのに、 一生懸命教えてくれるし... いちいち面倒くさそうな顔しても、 いつも僕たちのサポートを してくれていたし。 顧客のクレームからも いつも矢面に立って、 僕たちを信頼して、 対処してくれて。 そんな係長に ずっと... 惹かれてました.... 最初から... それに、 仕事だけじゃないし... 係長だって、 本当は僕のこと、 気になってたんじゃないですか?」 ---いや、たしかに、 そんなイケメンの君に 慕われたら、いやなわけないし... でも、仕事は仕事だからちゃんと 教えなきゃいけないし.....---
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