第1章

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「きゃーーーーーーーーーー なんでそんなことを!」 叫んでいるのは真由美だった。 そして、小織も異口同音に興奮していた。 会社を辞めてから1週間後、 気の置けない友人たちと、 ささやかながら、報告会を催していた。 「あのね、佑香はいつも突然なんだけど、 でも、これっていったい何よ。 突然にもほどがあるでしょうが」 「そうよ、そうよ、何で相談してくれないのよぉ  仕事やめるなんてもったいない!」 ビールのジョッキをぐいっと飲み干して、 ふたりが同時に言った。 「で、いったい何があったの?」 その眼は好奇心でギンギンになっている。 「うん、まぁね...」 枝豆の皮をむきつつ、佑香は言葉を濁す。 「そんな、ここまできて言わないのはないでしょぉ。 ああああ、わかった! 男だな! だれだっけ、あの子、あの部下の子ね! いぃぃ... えっと、なんだっけ、 そう、伊藤君!」 得意そうに叫ぶ真由美。 人の不幸で喜びすぎじゃない? と思いつつ、苦笑いをする佑香。 ひとりだけ取り残されている小織。 子育てに忙しい小織とは久しぶりだった。
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