第1章

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ここで、はじめて、 事の顛末を 二人に話す。 洗いざらい..... そう--- あの、真由美には伏せていた、 彼の形容した、 「給湯室の情事」のことも..... きゃーーーーーーー エェェーーーーー!!! もったいなーい!!! なんでそんなことぉぉぉ!!! 冒頭の言葉を繰り返すふたり。 でも もったいないの意味は、 仕事を辞めたことではなくて、 伊藤君を逃したこと。 人の生活の心配はしてくれないのか? 呆れながらも、 熟女達がとびつくゴシップは、 こんな色ネタ。 特に、 刺激のない結婚生活を送っている 彼女らにとっては 久しぶりの生々しい、 進行形のエクサイトメント... あまり、人の不幸を肴に お酒を楽しみすぎじゃない? と思いつつ、 シェアしてくれる、友人をありがたく思う。 「でも、思い切ったね」 「なんで辞めたの?」 「辞める必要はなかったでしょう? 「好きじゃなかったの?」 「何がいけなかったの?」 「不倫でもなんでもないんだし、  堂々とつきあえばよかったじゃないのぉ?」 「周りになにか言われたの?」 「そんな可愛い部下から言い寄られたら、  ぜったい私なら食べちゃう!」 ーーー彼女たちの好奇心とバイタリティは 飽くことを知らないーーー 矢継ぎ早の質問には まともには答えられない。 興奮した彼女たちは佑香に 考える間も、 答える間も与えない。 彼女たちが落ち着くまで、 佑香は黙って、 グラスを口にしていた。 「それで?」 言いたいことを言い終わって、 ようやく落ち着いた彼女たちは、 その欲求の矛先を 佑香に向けはじめた。
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