第1章

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僕、師走菊斗は非凡であり凡庸だ。 運動能力も中の中、学習能力もそれぐらいだ。 だからこそやれる事もある…はずだ。 でも、僕はやろうとしない。 なぜしないかって? やりたくないからだ? 努力の天才や発想力の天才、秀才にクラスの中心人物、部活のムードメーカー。 そんなものに囲まれて、いや紛れて生活していると思っていた。 でもそれは違う。 寄生していたつもりで寄生しきれていなかった。 僕は死んでいたのだ。 別に肉体的にも社会的にも死んだわけじゃない。 その団体の中で死んでいたのだ。 非凡で凡庸な僕はつまらない努力を嫌った。 しかし、それはあまりにも犠牲が多かった。 中学までにできた友達は居ない。 高校に入って部活に入りクラスでも努力の天才に寄生しながら中心に立てたはずだった。 でも今は違う、とあることからその天才と喧嘩をして僕は堕ちた。 「暇だ、何もすることがない…」 僕はそう憂鬱そうに机に顔を押し付けていた。 端っこの席でただ、憂鬱そうにクラスメイトが騒ぎ立てる音を聞きながら眠気を抑えるばかりの日常。 この生活が常であった。 しかし、僕もたった1か月前まではこうではなかった。 先にも述べたように僕は中心人物だったのだ。 明日からクラス委員が僕になるというのに僕には居たはずの友達は誰ひとりとしていない。 ましてや声をかけて手を差し伸べてくれる救済者も居ない。 そんな日々がただ過ぎ去ってゆく。 授業が始まるチャイムがなり休み時間と指して変わらない憂鬱が訪れる。 社会の授業が始まるがこの授業で誰かが何かをすることは無い。 僕は気にせずに眠りについた。 夢を見た。 僕にとっては愉快な夢を見た。 この夢を他人に話して愉快だったと言えば更に僕と話す人間がいなくなるだろう。 しかし、本当に愉快で気持ちのいい夢だった。 目が覚めた頃、時計の針は午後12時30分を指している。 あと5分で昼休みの時間だ。 昼休みにすることといえば裏庭の誰も来ないテーブルで1人昼ごはんを食べ、風の気持ちいい木陰で本を読む。 それだけだ。 それでも1ヶ月も続けてみると発見もある。 空の綺麗な日は少しだが気分も良くなる。 チャイムがなり昼休みになった。 女子たちは互いの机をくっつけておしゃべりを始めながらお弁当を取り出す。 男子もそれぞれのグループで弁当を食べだしている。
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