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「それはまだ言えないな。それよりも就活は
早め早めに、だぞ」
「うん、再来年かぁ。でもきっとあっと
いう間だね」
「そう あっという間だよ」
彼の前では平気な振りをしていましたが、
彼が卒業した後の2年間の学生生活を考え
ると憂鬱でした。
社会人と学生、今までのようには会えなく
なるし、何か自分が置いて行かれるような
そんな気がしていました。
星空の下だから、でしょうか、本音が
ポロリと出てしまいました。
「淋しいよ、あっという間じゃないよ・・・」
それを聞いた彼は、名前を呼んで後ろから
強く抱きしめてきます。
力を抜いて身体を預けると、包まれている
ようで気持ちいい。
キスして欲しくて、私から振り向くと
彼も応えてくれて。
高まっていく気分の中で1つ、気になって
いることが、浮かんできました。
(目標って・・・ 気になるな)
彼が手を両脇の下から前に通し、2つの膨ら
みへ重ねてきます。
「だ~め!目標って教えてくれないなら
お・あ・ず・け だよ!」
唇を離し、胸から彼の手を剥がすと振り向い
て聞き直します。
「教えてよ、目標って何?」
彼は答えてくれません。
「・・・ 」
「ねぇ?」
更に催促をすると、軽く溜息を付いた後、
やっと話してくれました。
「美穂がずっと笑顔でいられるように頑張
っていくこと、だよ」
「えっ?何それ?」
「これまでみたいに会えなくなるし、2年
ってやっぱり長いよな。その先のこと
だってあるし、だから目標にしようって決
めた」
「あ あれ?ちょっと泣くなってば」
「ほら こっち おいで・・・」
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