7人が本棚に入れています
本棚に追加
そしてやっぱりいつも通り、先生より先に私に気がついて。
私にも、溢れる笑顔を惜しまず見せてくれた。
可愛らしいお辞儀も。
この子が、本当に...?
「ぁあ、おはよう」
「…おはようございます。黒部先生」
「君、管理栄養学科の子だったんだね。これからよろしく」
「...よろしく、おねがいします」
この時間、エレベーターは少し混む。
私たちをこのフロアに残したまま行ってしまったエレベーターは、今ようやく一階に着いたところのようだった。
沈黙が気まずい…と思っていたのだけれど、それは黒部先生も同じだったらしい。
エレベーターの動きを示す電子表示を見つめながら、先生の口が小さく動いた。
「やっぱり、料理とか好きなの?」
「...どうでしょう?そこそこ、です。...先生は、料理、上手ですね」
「えっ、と?」
「ベランダからすごい美味しそうな匂いが漂ってきます。毎日」
最初のコメントを投稿しよう!