第1章

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そしてやっぱりいつも通り、先生より先に私に気がついて。 私にも、溢れる笑顔を惜しまず見せてくれた。 可愛らしいお辞儀も。 この子が、本当に...? 「ぁあ、おはよう」 「…おはようございます。黒部先生」 「君、管理栄養学科の子だったんだね。これからよろしく」 「...よろしく、おねがいします」 この時間、エレベーターは少し混む。 私たちをこのフロアに残したまま行ってしまったエレベーターは、今ようやく一階に着いたところのようだった。 沈黙が気まずい…と思っていたのだけれど、それは黒部先生も同じだったらしい。 エレベーターの動きを示す電子表示を見つめながら、先生の口が小さく動いた。 「やっぱり、料理とか好きなの?」 「...どうでしょう?そこそこ、です。...先生は、料理、上手ですね」 「えっ、と?」 「ベランダからすごい美味しそうな匂いが漂ってきます。毎日」
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