第1章

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去年までの隣人が酷すぎたから余計眩しく感じるのかも。 ベランダがゴミまみれで、臭いもすごかった。 ゴキブリを飼育していたのもこの人に違いない。 たった一年のお付き合いだったけど、ほんっと、一番忘れたい、忘れられない思い出だわ。 ...自分ののイベントの少なさに、また泣けてきた。 淋しい私のキャンパスライフ1年目が終わろうとしていた春に、その部屋に新たに越してきたのが、彼女だった。 初々しい雰囲気が如何にも『新入生』で、従順で大人しそうな可愛い小さい女の子。 ところが! 驚いたことに初っぱなからオトコ付き。 高校時代からの彼氏なんだよね、きっと。 私、つい会う度にガン見しちゃってた。 ...引きますよね。ごめんなさい。 でも、彼女はそんな様子は欠片も見せず、いつもニコニコ、挨拶は深々とゆっくり丁寧に会釈してくれた。 そして。 彼を、いつも見つめていた。
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