第1章

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「...始めます。着席してください」 ドアが開く音と同時に、講師の声が響いた。 あれ?もうチャイム鳴ったっけ?的な呟きと共に皆が座りだし、例の数人も舌打ちしつつ着座。 座っていた私たちは、前へと体を向き直す。 「見たことのない先生だね?」 「若いねー」 「狙ってみる?」 うちが女子大だからなのか、こういう手合いの内緒話は内緒になっていない。 ボリュームは大きくなくても、クラス全体でそれぞれ話すので『内緒話』の存在感が増してしまうのだ。 「今年から、客員講師として教壇に立たせていただいている黒部です。 前期は看護学部のみでしたが、後期はこちらでも講義させていただきます。 よろしくお願いします」
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