第1章

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授業が終わると、先生が教室の外に出る前にクラスの子達が前に集まっていった。 ちょうど次がランチタイム。 一緒に食べるチャンスを逃すまいと、皆、結構な強引さだ。 っ!ちょっとッ! そんな押したら彼女ちゃんが...ッ! 無抵抗の小さな彼女ちゃんがクラスメイトに倒され踏みつけられているシーンがバッと浮かんでしまって。 私は思わず立ち上がっていた。 「彩子?」 「先生が気になるぅ?」 「いや...そーゆーんじゃ...」 二人の反応が、少し遠く感じる。 どう説明しようかと頭の隅で考えながら、私の目は黒部先生に釘付けだった。 先生は、大して困った顔もせず照れた様子もなく、二言三言を淡々と発して女の子たちを引き離し、廊下に出るときには既に一人。 先生の隣には、いつの間にか、ちゃんと彼女ちゃんがいた。 変わらぬ無邪気な笑顔に、私は胸を撫で下ろした。
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