『雨の日に差されることのない傘』

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コンビニの店内はクーラーがかかっていて涼しい。 まだ残暑が残っているこの季節だ。この涼しさは心地よい。 とりあえず、まだ雨は降りそうにないので、僕は店内をみて周る事にした。 まだまだ暑いのもあって、アイスなどの種類は豊富だ。 期間限定の商品を探してみたり、最近の雑誌を読んだりしながら僕は雨が降り始めるのを待つことにした。 店内は閑散としていて、お客は僕を含め三人。 店員はレジに一人と品出しをしている人が一人いる。 店内の雰囲気は特に変わったものではなく、BGMが静かに流れている。 コンビニに入ったわけだ、とりあえず何か買っておこう。 僕はミルクティーとメロンパンを手に取り、レジに向かおうとした。 けれど足を止め、僕は缶コーヒーも買おうと思い、棚に取りに戻った。 本当は甘いものに目がないのだが、別にコーヒーが飲めないわけではない。 ただコーヒーよりココアやミルクティーの方が好きなのだ。 “コーヒーが苦手なんて子供ね“と言われたことが昔あったからかな。 飲めない事で苦労はしないかったのだが、らしくもなく当時は意地を張って飲んでいた。 そしたらいつの間にか飲めるようになっていた。 大人になったのだとしみじみと思う。 レジで会計をすまし、外を見たところ雨が降り出してきたようだ。 丁度いいと思い、僕は袋の口を結んで外に出ようとした。 すると、先ほどレジをしてくれた人が僕に声を掛けてきた。 “今日も濡れて帰るのですか。お客様にお願いされたとおり、ゴミ箱に立てかけてある傘は片づけないようにしておいています。いつでも好きな時にお持ち帰りください。”と僕に言う。 僕があの紺色の傘を立てかけた? あの傘をこのコンビニが捨てないでそのままにしていてくれている? なんの事なのかわからない。 僕はわからないという顔でレジの人を見てみたが、その人はただ笑みで返してくる。 きっと何を聞いても答えてはくれないのであろう。 とりあえず人違いであろうと自分に言い聞かせて僕は、外に出た。
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