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足立が、私の待つ製作所の会議室の一室へと戻ってきたのは、夕刻を過ぎた時間だった。
既に汗も引き、暖かなお茶でくつろいでいた私とは裏腹に、足立が疲れた様子で会議室の椅子に腰掛ける。
「話は纏まった?」
お茶を啜りながら、製作所から借りたのであろう、ベージュの作業着を脱ぐ足立に尋ねる。
彼は汗で濡れた髪を掻きあげて、ぼつりと呟いた。
「明日、早朝8時から再度、工場見学することになった」
「え?また?」
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