4月:★2★ 城崎の提案

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「じゃあ君にとって、ここは天職なんだ」 「そうですね。天職です」 「でもそんな、乾の舞台が大好きな君が、ダンサーたちを首にするジャッジをするのは酷だね」 ため息混じりに彼は告げる。 城崎もすでに情報を握っている。それは、誰からの情報か、聞くまでもない。 茂木が城崎を巻き込んだのだろう。 ダンサーから慕われる城崎から、現場の意見を聞こうと、情報を流したのかもしれない。 ダンサーカットの件は、トップシークレットだが、演出家である彼には、折を見てきちんと話さなくてはならないことだった。 ただ、もう少し時間をかけて、タイミングを計りたかった。 呑んだ帰りのタクシー話すなんていうタイミングではなく、もっと別の場所を設けたかったのだが、仕方がない。 車のシートからすこし腰を浮かせて、城崎との距離を詰めた。 肩を寄せて、耳元へと囁く。 「出来れば、私の判断では選びたくはないのですが、そうも言ってられないので......」 致し方なく、城崎の言葉を肯定する。
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