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5月:★2★ 稽古場での抱擁 #2
足立を予想していた。
けれどそうではなくて、城崎さんが戸惑った様子で、こちらへと近づいてくる。
いつの間にか落ちていた涙。掌を当てて拭う。
「なにか...あった?」
涙を消し去っても消えない瞼の火照りに、城崎は気づいている。
それでも、城崎の問いに気づかないふりをして髪をかきあげる。
「いえ、別に」
「何か辛いことがあるんだったら、吐き出していいんだよ」
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