5月:★4★ 城崎の想い。繭香の過去。 #2

2/13
133人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
「……ですが、 彼の隣には別の女性がいて、私の場所はありませんでした」 あの時の彼の驚いた顔。 まるで視てはいけない何かを見つけてしまったかのように、彼はわたしから視線を逸らした。そして真っ赤なドレスが似合う栗色の髪の女性の肩を抱いて、その場から逃げるように去っていった。 真っ赤なドレスの裾が柔らかな弧を描いて翻る様子は、瞼を閉じれば今でも思い出せる。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!